運転しない運転代行
たかし:「運転しない運転代行は、その存在意義があるのだろうか?」
代行スタッフたかしは、那覇市松山の繁華街で苦い思い出を思い出すようにつぶやいた。
バービー:「それは、鳴かないヒージャーがヒージャーであるかどうか、というのと同じね」
たかし:「ヤギは星座として生き続ける」
たかしはむずかしい顔をして、トランクから三線をとりだした。那覇の運転代行業者の車には、三線が常備してある。
たかし:「運転代行は、いつから運転代行と呼ばれるようになったんだろう」
代行スタッフたかしは、即興でポロンポロンと三線を奏でた。
バービー:「たかしは、運転は音楽と同じだって言ってたね」
たかし:「音楽が運転と同じなんだよ」
たかしの口からは、運転代行のポエムがとめどなく流れでてきた。
運転代行、それはメロディ
道路という五線紙をただよう、ぼくらはメロディ
運転代行は、転調を繰り返し、星へと昇華されていく
運転代行、それはアイドル
時の光をあびて、命を得るハンドル
代行スタッフは、電話のマイクで、家へと誘う運転の騎士
運転代行、それはストーリー
クライアントの物語を運ぶ、星々のかなでる神話
那覇の夜は、口数の多い女が教えてくれた代行物語
たかしは謎めいた言葉の数々をつづけた。きっと運転代行の精がとりついたら、こんな感じになるのだろう。
運転代行は、たしかに魅力的な仕事だ。きつい、という人もいる。でも、それはどんな仕事も同じだ。問題は、運転代行そのものに、ロマンを見いだせるかどうかだ。
たかし:「運転代行は、選ばれし民の、神聖なる御業なんだ。運転代行は、命を預かってるんだから」
たかしのつややかな髪は、那覇の飲み屋街「松山」のネオンを怪しく反射していた。
たかし:「ぼくらはどこへでもいく。那覇にかぎらず、沖縄本島なら、どこへでも」
バービー:「離島も行くでしょ、橋がかかっていたら」
たかし:「むしろ、ぼくらが橋なんだ。人と人をつなぎ、飲み屋と家をつなぎ、希望と勇気をつなぐ」
バービー:「まるで、代行スタッフは天使のようね」
たかし:「那覇運転代行は、たしかに神聖な運転代行だよ。だから、剣を極めた剣豪が、剣を抜かなくなるように、運転代行も極めたら、運転が不要になってくるのかもしれない」
たかしの言葉は、たしかに運転代行の未来を言い当てていた。
執筆代行:激安・下町WEB制作ひよこうぇぶ