那覇運転代行の夜

那覇国際通りでは、沖縄運転代行・バービー運転代行のスタッフが、その代行の「あり方」について無限の会話を繰り広げていた。

運転代行は、夜を孤独に走るサービス業だ。人と接するからこそ、その代行の哲学が重要になってくる。

 

たかし:「結局、運転代行業者がどんなにがんばっても、世界を変えることなんてできない。波の上ビーチ周辺のホームレスの一人さえ、ハンドルで救うことはできないんだ」

代行スタッフたかしは、吐き捨てるように言った。

バービー:「でも、何かは変わっているはずでしょ?生きて、そして動いているかぎり」

たかし:「その、質が問題なんだ。だってぼくらの人生は、無限ではないのだから」

たかしは、何を分かりきったことをという様子で、くだらないことを言ってしまった後悔を秘めた目で、遠くのリュークスタワーを見上げた。ガソリンのメーターは、残り二目盛りを挿していた。車は沿道で、疲れたヒージャーのように止まっていた。

 

バービー:「運転代行は、何もできないってこと?」

たかし:「そうは言っていない!」

めずらしく、たかしは熱く否定した。煙草の吸殻を胸ポケットから取り出した携帯用の灰皿にねじこんだ。

たかし:「運転代行業者は、運転代行とての使命を果たすだけなんだ。あの、おもろまちのツインタワーのエレベーターは、さぞかし見晴らしがいいだろう?」

たかしの瞳は、運転代行の魂が宿ったサムライだった。

たかし:「でも、あのエレベーターは、上下にしか動けない。亢竜悔いあり。どんなに昇っても、あとは降りるだけ、そしてその繰り返し」

バービー:「運転代行も、繰り返しの毎日だよ」

たかし:「でも、ぼくらには無限の水平線がある。どんなに超えても、その限界をまた、車で越えていくんだ」

たかしは、これだから運転代行はやめられない、と言わんばかりの勢いだった。

たかし:「運転代行は、辺戸岬にも、喜屋武岬にも行ける。リュークスタワーのエレベーターには、それができない。那覇運転代行は、水平面を自在に泳ぐ、二次元の自由がある」

バービー:「時間軸を忘れているよ」

バービーは、やれやれ、と月を見上げた。

 

たかし:「エレベーターの縦軸とあわせて、完成するということさ。それが、運転代行のヒミツなんだ」

バービー:「わたしたちのような運転代行業者も、沖縄には必要だってこと?」

たかし:「日本に、いや、宇宙に必要とされているんだ。というよりも、運転代行は宇宙そのものと言ってもいいのかもしれない」

 

たかしの瞳孔は、南十字星の輝きを確実に反射して輝いていた。国際通りのネオンも、運転代行を見下ろすように眠りにつくころだ。

執筆代行:激安・下町WEB制作ひよこうぇぶ

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